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2010年5月14日金曜日


一致して、次のステップに進もう

鉄道運賃問題、根本的解決に向けて



■鉄道事業者が暴利をむさぼっている、は本当か?

いよいよ、成田高速鉄道の開通が迫ってきました。この機会に北総鉄道の運賃問題を何とかしたい、これは沿線の住民の共通の願いです。このため、県・沿線自治体及び事業者が合意し、ようやく5%弱の引下げ、通学定期については割引率 25 %値下げ案がまとめられました。

しかるに、一部の市民のみなさんと白井市議のグループは、高運賃は「鉄道事業者が暴利をむさぼり、利用者がその犠牲になっている」、また「合意に関わった県及び六市(現在)、そして運賃認可した国は市民でなく企業の味方」とし、合意を破棄し、元に戻すべきだと主張しています。本当にそうなのでしょうか?



■高運賃の解決は 800 億円超の債務償還にあり

民主党はこの主張には同調できません。企業会計では借金の返済はもっぱら決算上の利益と減価償却によらねばなりませんから、その分黒字計上して返済額相当の利益を確保します。決算上のこの数字を根拠に「暴利」を言い立てるのは企業会計を理解していないか、あえてする恣意的な議論でしかありません。

高運賃の根本的な理由は、建設時における巨額の負債の償還がもっぱら運賃に上乗せされていることにあります。北総鉄道の債務は 827 億円、昨年の償還は 56 億円、さらに累積赤字が 318 億円。

さて、今回の合意案、この債務には手をつけずに、自治体と事業者による年間合計6億円の資金で5%の値下げをしようというものです。誰もこれで十分とは考えていないはずですが、財政の苦しい関連自治体や、新事業への投資負担の中での事業者の努力だけでは精一杯の数字ではないでしょうか。



■借金がなければ半額相当?

巨額の負債を軽減し、値下げを実現するには、別の方策を模索することが必要です。今回の一連の経過からわかったことは年6億円の資金で5%の値下げが可能ということ、それなら 60 億円のおカネがあれば 50 %、本線並みの半額程度に値下げできる計算です。これはちょうど北総鉄道が一年間に返している借金とほぼ同じ額に相当します。根本的な解決はこの債務をどう処理するか、資金を誰が負担するか、どの資金を投入すべきかにあります。

インフレの時代、乗客が飛躍的に伸びていた時代なら全額利子付きの資金での鉄道建設も可能だったでしょう。すっかり時代の変わった今日、そのスキームを変えるべきなのに、これを放置したまま今日に至ったことが問題なのです。



■利便性の増進 -ダイヤ3割増発、 10 分以上の時間短縮

さて、今回、運行ダイヤの改善点として、現在の乗客数では難しかった増発が、空港直通を機に実施されます。北総鉄道の現行のダイヤに普通特急を加えて3割増、さらにこの特急(午前中は押上線直通)への乗り換えにより、例えばニュータウン中央から押上間の所要時間が現行 44 分から 30 分程度に短縮されることとなり、利便性がそれだけ向上します。



■初乗り料金について

線路使用料、初乗り料金などに検討の余地あり、との問題提起もあります。しかし、これらに全国一律の基準があるわけではなく、各地の鉄道ではそれぞれの事情に即して個別に検討、認可が行われてきており、今回の内容も鉄道事業法の上で否定されるものではありません。また、初乗り料金制も新設路線では一般的に導入されています。



■自治体からの公金投入について

自治体からの公金(補助金)投入についても議論があります。しかし地域の足の確保の手段として、全国各地で自治体補助は少なからず行われています。

神戸市の北神急行では 1999 年から兵庫県、神戸市がそれぞれ 2.7 億円/年負担し、 80 円の値下げを行ってきました。つくばエクスプレスは北総鉄道よりも3割程度安いが、建設段階で都県 40 %、沿線自治体が 40 %を負担しています。

これに対し、北総鉄道では建設時に自治体負担がなく、そのすべてを有利子資金でまかなっています。ベストとは言えないにせよ、他に手段がなければフォローの手法として補助金投入は許容される方策です。



■一刻も早く関係者が一致してこの問題に当たるべき

より大きな値下げを期待してきたわれわれ沿線住民からすれば、今回の値下げは小幅で期待外れかも知れません。だがこれを第一歩とし、 県を中心に 苦労して立ち上げた協議会を今後も発展させつつ、企画割引導入などの施策に沿線が一致して取り組みながら乗降客数と運賃収入の増大につとめ、また、有利子債務の縮減の方途を探りながら、さらなる改善をめざして今後も取り組みを続けたい。そうした利用促進も、改善に向けた交渉も、鉄道事業者を含めた関係者の一致した体制が前提になります。

折しも現在、民主党中心の政権のもと、北総鉄道の直接の債権者である「鉄道運輸機構」の機構改革の議論も始まっています。地元が割れている時ではありません。一刻も早く関係者が一致してこの問題に当たることが必要です。引き続き、関係各位のご尽力をお願いします。